大学認可に関して、アメリカは世界的に見ると例外です。
普通は大学の認可は、日本の文科省のように政府機関が行います。カナダのように国ではなく州が行うこともありますが、それでも政府による認可であることには変わりありません。
アメリカであっても大学を設立・運営するにはライセンスが必要で、これは各州が付与します。しかし、ライセンス付与の条件は州によって異なり、州によっては簡単に大学なるものを設立できます。つまり、高等教育機関のライセンスを持っているからといって、それだけでは信頼性が担保できません。
ライセンス=認可ではありません。そこにDegree Millを生み出す構造があるのですが、もし正当な認可を受けていない大学であれば、そこでの学位は社会的に評価を受けないものになってしまいます。
ところが、アメリカには政府によるの大学認可制度や教育の質評価制度がありません。
これには、アメリカの高等教育の歴史が関わっています。アメリカでは建国よりも前にハーバード大学が設立されました。建国前なので当然私立大学ですし、国の認可もそもそもあるわけがありません。そして、その流れから今でも私立大学が多く、特に著名な大学の多くは私立です。
このような歴史背景があるからこそ、そして自由が重んじられる国だからこそ、国の認可というものがないのです。
そこで、登場するのが「accrediting bodies」とか「accrediting
associations」と呼ばれる民間の認定機関です。これらの機関の認定をもらって「高等教育の質が担保されている」と言えるのです。
(参照: US. Department of EducationのAccreditation Universities and Higher Eduationというページに載っています。)
国を6つの地域に分け、地域認可団体がそれぞれの地域を管轄しています。
・ Middle States Commission on Higher Education ・ Southern Association of Colleges and Schools ・ Western Association of Schools and Colleges ・ New England Association of Schools and Colleges ・ Northwest Commission on Colleges and Universities ・ A Commission of the North Central Association of Colleges and Schools |
加えて、専門分野ごとの認可団体で、分野ごとの教育課程を認可しているものがあります。
(例) ・ Accreditation Commission for Education in Nursing, Inc. ・ American Psychological Association, Commission on Accreditation ・ Commission on Massage Therapy Accreditation |
カナダもアメリカ同様、国として認可することは行っていません。(国は質保証のために「Recognize(認知)」をしますが、これは認可ではありません)。
各州が教育制度を定めており、州の公的機関(主に教育庁)が大学の認可をすることになっています。州によって中等教育の制度や教育課程も異なるため、違う州の大学に行こうとしたら履修状況によって出願資格を満たさないなんてことも起こりうるので注意しましょう
カナダの認可大学はほとんどがUniversities Canada(前身はAUCC:Association of Universities and Colleges of Canada)という大学協会に登録しており、そこに載っていればその大学は認可されていると思って間違いありません(97%の大学が登録しています)。
認可は各州が管轄していますが、一方でカナダは高等教育の水準を国として統一しています。
国の教育省が出しているCanadian Degree Qualifications Programという学位プログラムの質保証フレームワークに従って運営をしているのです。これにより国として学位の教育的、社会的価値を担保していると言えます。
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