「グローバル化」とよく言いますが、実際にどのようなことが起きているのでしょうか、分かっているようで具体的には分かっていないものです。ここでは、1つの時代背景として一番最先端で波にさらされている企業に焦点をおいてみていきたいと思います。
国際協力銀行(JBIC)が行った製造業610社対象のアンケートによると、日本企業の海外生産比率は2002年には26%でしたが、2013年には35%に上昇、2016年には39%近くになると予測されています。また海外売上高も2002年に28%だったのが、2013年には37%に上がりました。
平均的に見ても、今や日本の企業は作るのも売るのもの3分の1以上は海外ということですね。皆さんがぱっと思い浮かぶ企業はほぼ全て海外進出をしていると言ってよいでしょう。海外に進出していない企業を見つけることのほうがはるかに難しいのです。
もちろん自動車、家電産業のように海外売り上げが7割、8割を超える企業もたくさんありますが、他の業界も予想以上に外に出ているのが現状です。
良く取り上げられる例としてキッコーマンです。キッコーマンの醤油、日本と世界どれぐらい売れていると思いますか。約50:50です。正確に言えば、37億円ほど海外の方が売り上げが高いのです。いくら和食が世界ブームと言えども、びっくりしませんか、この割合。しかも、プロネクサスという会社がまとめた2009年のデータではまだ44%だったので、この5年間で6%も上がったんですね。
海外に行く機会があれば、周りを気にして見てください。トヨタ、日産、セブンイレブン以外にも、色々なところで日本企業の名前が見つかります。いつもは日本語で見ている企業名を英語で見るのも変な感じで面白いですよ。
さて、ではこの先はどうなるのでしょうか。国際協力銀行のアンケートの中に、「中期的(今後3年程度)な海外事業および国内事業展開の見通し」という調査項目があります。下のスライドを見てください。
結果は、海外事業については、「強化・拡大する」と答えた企業が82%、「現状維持」が16%ほどでした。合わせてほぼ99%で、、、ん?そうです、ほぼ100%なんです。「縮小する」「検討する」という残り2つの選択肢を合わせても1.5%にしかなりません。これは、大企業に限ったことではありません。中堅・中小企業(資本金10億円以下)でも74%が「強化・拡大」と答えているのです。
国内市場はどうでしょうか。「強化・拡大する」が28%、「現状維持」が57%、「縮小」は8%でした。勘違いをしないでくださいね。国内市場がないがしろにされているわけではありません。国内市場もとても大切ですし、「強化・拡大」「現状維持」を合わせると85%ですから、十分に企業の力の入れ具合がわかります。全体としては3分の2が日本の売上なはずなので、日本のマーケットもこれからより大切になっていくでしょう(実際、日本は意外と海外依存率が低い部分もあり、国内の基盤なしにはやっていけません)。
ただし、グローバル化に加えて、人口が減少していく中で、マーケット拡大ということでは、「海外市場を強化・拡大する」という項目が上がってくるということが事実です。まさに企業にとってグローバル化への対応、グローバル事業展開は死活問題と言ってもよいでしょう。否応なしに、私たちの経済、社会はこのような状況に置かれているということです。