会議に臨むにあたって、議題解説書、通称「BG(Background Guide)」というものがフロントから配布されます。
BGには議題に関する基礎知識や解説が載っています。いわば参加者共通の教科書です。練習会などで使われるBGで最も一般的なものは過去の全日本大会のBGです。
BGには2つの目的があります。1つは、参加者に議題に関する基礎知識や情報を提供することです。もう1つは、「○〇問題」とひと言で言っても広すぎるので、会議の方向性や論点を定めるという目的です。
リサーチにあたって、当然ながら、まずこのBGを読み込み、そして読み解きましょう。
BGには過去の議論や関連会議、各国の基本立場など、たくさんのヒントが載っており、巻末には参考になるリソースも提示されています。ただ単にBGの文章を読解していくだけでなく、関連事項をリサーチして、自分の言葉でBGを説明できるようにすることがスタートです。
なお、全日本大会のBGはGlobal ClassroomのHPにアップロードされており、自由に参照することができます。http://jcgc.accu.or.jp/bgsandreports.html
BGには、アウトオブアジェンダ(Out of
Agenda)と言って、議論の対象にしない事項も設定されています。つまり「これについては議論しないでね」という項目です。
それを議論してしまうと全体の議論が進まない、もしくは方向性がずれてしまうといったようなものが対象になります。
アウトオブアジェンダに抵触するか否か、そしてその対応は会議監督に任されています。
PPPやDRにアウトオブアジェンダと思われるものがあれば、該当する大使に確認を取り、削除を求めたり、「あくまでもバックグラウンドとして認め、これ以上の議論は避けるように」という指示を出したりします。
例えば、あるエネルギー安全保障の会議で、原子力に関する議論がアウトオブアジェンダに指定されたことがあります。確かに原子力はエネルギー政策の重要な論点になるのですが、2011年東日本大震災の福島原発以降、どうしてもその安全性に関する前提議論が避けられず、エネルギー政策を議論する前にそこで膠着してしまいます。また、安全性、リスク対応という点からも原子力が新たなエネルギー政策として主論点になりえないという観点からアウトオブアジェンダとしました。