国連会議では、与えられた議題に対して決議案を作成し、最終的にはそれを採択して「決議」として世に出します。
この国連の決議をResolution(通称:レゾ)と呼びます。ニュースで「安保理が○○を非難する決議を表明」といった報道がなされますが、これは採択された後のもの、つまりResolutionとして成立したものです。
一方、その決議にかける原案のことをDraft
Resolutionと呼びます。略してDRです。このDRこそ、討議中の最重要文書で、これを巡って各国がぶつかり、交渉を進めているのです。
DRはあくまでも投票される前の原案にしかすぎません。DRは過半数の賛成で採択され、正式にResolutionとして世に公表されますが、賛成が過半数に届かない場合は廃案になり、お蔵入りしてしまいます。
書類上でも決議案はDR、決議されたものはResと文章名で区別されています。採択された場合は、議長から「DR1は正式にResolutionとなりました」と、名称の変更が宣言されます。
会議をリードし、自分たちの主張を反映させるには、やはりDRを作成することが重要な作業になります。
会議では、中心となる生徒たちがパソコンを持ち込み、事前に作成したDRを用意しています。経験の浅い多くの大使はDRを作成するまでに至らないので、他国の用意したDRに乗っかるという形になります。
どちらが有利か。やはり実際に文面を作り、自分たちのパソコンで修正するほうが圧倒的に有利な立場に立ちます。
そりゃ、そうですよね。文書を提出するのが目的の会議にあって、それを自分たちで書いてきているのか否かは天と地の差です。DR作成にトライできるようになると模擬国連がぐっと分かるようになります。
主導権争いの中で自分たちの作ったDRがベースになる保証はありませんが、それでも、自分たちの文言が手元にあるのかどうかは大きな違いですし、用意されていれば組み込める可能性が高まります。
ただし、DRを書くことが会議の振る舞いを決定するものではありません。
かなり熟練した生徒でも「DR作成は得意じゃないから作らない」と決めているペアもいました。彼女たちは、あくまでもリサーチと交渉、調整で会議をリードしていくタイプで、そういう割り切りが功を奏すときもあります(実際に彼女たちは上級者の会議でも中心に入っていけるペアで、他国の用意したDRをベースに提出国にもなります)。
他にも、日本語で文面を作成して、会議に持っていき、ガンガン主張するというペアもいます。
確かに、DRを書くことが全てではなく、それを作成するか否かはそれぞれの個性によるところもありますが、いずれにしても、@過去の類似会議のDRを調べておく、A自分たちの求めるDR、文面を具体的にしっかり説明できる、ということは必要なことでしょう。