20世紀から21世紀へ、1の位が1つ増えただけですが、社会は大きく変化しています。まさに激動の変化、というやつです。そして、社会のパラダイムシフトにともなって、教育の変容が重要な課題になっています。ひと昔前には認知もされていなかった「21世紀型教育」という言葉、今やこれが教育界の大きなキーワードになっていますよね。
そのパラダイムシフトを引き起こしている主な要因は、少子高齢化、グローバル化、デジタル化の3つですが、最初の2つについては、詳しくは「グローバル化が引き起こす変化」をお読みください。
今回、ここでは、ICT化について考えてみましょう。ICTについては、2つのポイントとなる現象があります。
1つはネット社会になり情報にボーダーがなくなったということであり、世界中どこにいても様々な情報を簡単に入手できるようになったということです。現地に行かなくては得られない直接体験も、「見る」「聞く」に関してはYou Tubeなどによって、疑似的ではありますが相当の補填ができるようになりました。
そしてもう1つの変化は、入手できる情報が爆発的に増えたということです。下の表のとおり、2006年の総務省情報流通センサスによると「ここ10年で、私たちの周りにある情報量(選択可能情報量)は530倍になった」という発表がありました。驚くべき発表ですよね。530倍ですよ、530倍。果てしない情報量です。今は、この発表からさらに10年ほど経っているわけで、そのまた何十倍にもなっていると予測されます(実際、2013年には、日本のネット情報量が5年で3.5倍に増えると米国企業が予測しています)。
このことは、ネットで1つキーワードを検索すると何百万といったヒットが出るなど、私たちも日常生活で十分実感していますよね。まさに情報があふれている世の中なのです
さて、社会のパラダイムが変化する中で、当然、私たちの教育のパラダイムにも変容が求められます。冒頭に述べた通り、グローバル教育、21世紀型教育という言葉が流行になって来たこと自体その顕著な現象ですよね。
単に英語、国際というレベルにとどまらず、あらゆる視点で「グローバル社会に通用する人材育成」を進めていくことは、教育が担う責務と言えますし、それがないと今後の学校は生き残っていくのが難しいでしょう。
以下は、私の盟友、実践女子学園キャリア教育部の渡辺大輔という教員が、様々な資料を基にキャリアガイダンスの中で、20世紀と21世紀のパラダイムについてまとめた表です(本当に素晴らしくよくまとまっています)。
インターネットが普及し、情報があふれる今日、知識そのものだけではなく、知識を生産的に使い、課題を解決する力、そして新しい価値を創造する力が私たちの資産になるわけです。また、今後は、1つの正解を求めるのではなく、「答えのない問い」に対して模索し、納得解を探求することが必要なんだと、彼は言っています。納得解、、、なるほど、これも面白い。
世代 | 20世紀 | 21世紀 |
社会 | 成長社会 | 成熟社会 |
インターネット | 普及前 | 普及後 |
知識の伝搬速度 | 遅い | 速い |
資産 | 持っている知識そのもの | 知識生産力(課題解決力+価値創造力) |
情報力 | 情報処理力(正解主義) | 情報編集力(納得解主義) |
成功する学習スタイル | 依存・受身・丸暗記 | 協同・主体的・思考 |
そして、そのような力、素養を育成するために、知識をもとに主体的に思考し、自分の考えや価値観を他人とぶつけ合わせるということが重要になってきます。そして、そこにアクティブラーニングや課題解決の本質があるんですね。
もちろん、知識や知識吸収型の授業を否定しているのではありません。知識は相変わらずとても重要です。しかし、社会が変わっていく中で、思考や創造力を兼ね備えてこそ、知識自体の価値もより高くなるということになります。
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