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課題解決 課題の書き換え

課題の書き換えは意識とトレーニング

課題を分析しているうちに、「あれ、これが本当に課題なのか?本質はもっとこういうことじゃないのか?」と疑問が沸いてくることがよく起きます。そんな試行錯誤を繰り返す中で、最初に設定していた課題より、もっともっと深くに入っていき、問題の核に迫っていく、それが課題の書き換えです。

逆を言えば、与えられた課題に疑いもせずにせっせと取り組むのは、表面的な課題解決であり、「課題→解決策」という単純なフローしか機能しません。

一番身近な課題の書き換えは、悩み相談でしょう。相談をしているうちに、いつの間にか違う相談になっている、なんてことありますよね。悩んでいる本人自身には、なんとなく「悩み」があるけど、実際には話している本人でもうまく分かっていない場合があるんですね。今話題のコーチングも、そのモヤっとした部分をクリアにしてあげる手伝いをすることですが、そういうことを通して、本当の悩みが見えてきます。課題の書き換えは、まさにそれと同じだと思ってください。

そうは言っても、課題の書き換えはすぐにはできるようになりません。意識していないとそもそも課題設定を疑うことができませんし、トレーニングしていないと行き当たりばったりで本質にたどり着きません。しかし、逆に言えば、意識をし、トレーニングを積んでいればできるようになるのです。

何となくのコツがあるんですね。・・・ということで3つお示しいたします。

3つのコツ

○課題解決のゴールは何か

ずばり、最大のコツは、「そもそもこの課題解決で何を達成したいのか」というゴールを考えることです。「木を見て森を見ず」と言いますが、意外と目の前のゴールだけを考えがちです。そもそも何のために課題解決しているのだろうとWHYを考え連ねて、本質に迫っていきます。

少し具体例で考えてみましょう。
「水槽をイメージしてみてください。そこには洗濯や食事に必要な生活用水がたくさん入っています。しかし、水槽には穴が開いており、そこから水が流れ出していきます。どんどん水を補給していかなくては、水がなくなっていきます。」

ここで、与えられた課題解決のゴールは「水を補給すること」です。そして、解決策として考えられるのは、パイプで川から水を補給する、といったようなことでしょう。

しかし、何のために「水を補給するのでしょうか」。水を補給すること自体が目的ではないですよね。WHYを考えてみるわけです。そもそもは「水を十分に保つこと」が目的ですよね。ここで課題が上書きされます。そして、そうなると、穴を埋めるという解決策を提示するほうが理にかなっています。

でも、もっとWHYを考えてみましょう。なぜ「水を保つのか」。単純に言うと、生活するためです。ということは、さらにそもそも「快適に生活する(それを水という視点から考える)」ということがゴールです。ここでさらに課題が上書きされます。すると、現在の水槽を使うことも必要なくなるかもしれません。節水家電があれば、必要な水は減ります。また、生活スタイルが変化すれば、この課題へのアプローチも変わります。

○目的と手段を見分ける

目の前のことだけにとらわれていると、本来は手段であるべきものごとがいつの間にかゴールになってしまっていることが多くあります。「果たしてこれは目的か、それとも手段か」、そう問いかけてみると、課題の本質が見えてきます。

1つ例を挙げると、「ホウ・レン・ソウ」、いわゆる報告、連絡、相談です。また会議や手続きといった類もの。これらは重要ですが、あくまでも手段です。しかし、これにこだわるがあまり、それらが目的になってしまうケースがあります。「会議時間が1時間設定されているから、とりあえず集まる」なんてことは日本の社会では日常茶飯事です。結局その先に何をしたいのかという本当のゴールがよく分からない、なんてことありませんか。

具体例を出すと、例えば、企業内のコミュニケーションを高めるために、ある取り組みを行うとします。すると、それを成功させるにはどうしたらよいのか、と試行錯誤します。プロジェクトチームなんか作ったりして。そして、次第に「そのプロジェクトをする」こと自体がゴールかのようになり、本来の目的にとって代わってしまいます。場合によっては、その試行錯誤を巡って、人間関係が荒れたりしてしまうとこともあったり。。。

しかし、そもそもそのプロジェクトは「コミュニケーションを高める」というゴールのための手段にしか過ぎないのです。その手段がいつの間にか課題解決のゴールになってしまっていることが多々あります。もっと言えば、コミュニケーションを高めることも、業績を上げるための手段ですよね。

このような目的と手段の見極めが課題の本質に迫るときには重要になります。

○あいまいな部分を見分け、クリアにする

課題解決では、あいまいさをクリアにしていくことが1つの方法論として挙げられます。

例えば、「快適な通勤」といった場合、「何をもって快適というのか」ということです。別の例でいうと、「顧客の反応が悪い」という課題について、では「どういう反応なのか、反応が悪いと感じる基準や根拠は何か、どのような場合だと反応が良いのか」ということを突き詰めていきたいのです。「反応」という一言で全部くくってしまおうとしがちですが、実はその一言の中に不明確な変数が多く含まれており、そのあいまいさに突っ込んでいきます。

あいまいなものに対して、「どのように」と問いかけて明らかにしていく、いわばHOWを探る作業と言っていいでしょう。すると、いろいろな因数分解ができ、課題の書き換えができるようになります。

意識づけとトレーニングを実践しよう

冒頭に述べたように、意識とトレーニングが重要です。教える側の教員も課題解決のセオリーやアプローチを知っていないといけないし、生徒にもそれを教え、実際に例題でトレーニングをさせていく必要があります。

しかし、教員側も生徒側もこのようなことを理解して課題解決プログラムに取り組んでいるとはまだまだ言えません。やみくもに課題解決に取り組むのではなく、
そのプロセスとして、求められるマインド、思考、スキルをしっかり養うことが大切だと思います。

ぜひ、ここで書いたこと、そして後ほど出す例題などを使って、課題解決の意識付けとトレーニングを実践していただければと思います。

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