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海外進学をもっと身近に

海外進学の希望者はどのぐらいいるのか

「海外進学のニーズ」が増えてきたと言っても、なかなか現実はそんなに希望者がいないものですよね。合格実績を見ると、ほとんどの学校が海外進学ゼロです。

本格的に取り組んでいるところでは、私の前任校も含めて、毎年10以上の合格実績を出しているところもあります。実人数は35名程度なので、全体の2%程度といったところでしょうか。本当にすごいところだとアイビーリーグを含めて、2030以上といったところもあります。それでも実人数は34%ぐらいで、5%を超えることはまれだと思います。

これらの数字を多いととらえるか、少ないととらえるか。もちろん全体の卒業生数からすると少ない数字です。しかし、海外進学という点からすると、十分多いと言えるでしょう。

海外進学に取り組むうえで、重要なのは、まずは1名でもコンスタントに出すことです。

多くの学校は1名ですら出ない状況です。ゼロと1はとても大きな差です。何年か前にある海外進学情報交換会に出席したことがありますが、そこで私が述べたのが「1」をいかに達成するのか、ということです。そして、その1名を学校のシステム・指導の中で育て、輩出するということが重要なのです。今後のグローバル教育の中にあって、学校のシステムとして「海外進学を出します」と言えることは大きな意味を持っています。

先輩が出ると後輩が後に続きます。やはり刺激になりますよね。しかも、その先輩を呼んで、TOEFLや海外進学のアドバイス・体験談をしてもらえばいいのです。海外進学が身近に感じられるわけですし、「自分でも行ける」「自分も行きたい」と思う生徒が増えてきます。

1が出れば、2が出てくるわけです。そして、最終的には学年の5%、200人の学校で10名ぐらい出ればそれはすごいと思います。


海外進学はみんなの選択肢

私たちの課題は「海外進学のすそ野を広げる」「海外進学をもっと身近にする」ということに集約されます。海外進学は敷居の高いもの、一部の生徒のものという感覚がまだありますが、そこから変えていかなくてはなりません。「海外進学はみんなの可能性であり、選択肢なんだ」と語りかけていく必要があります。

これまで「海外進学」というと、アイビーリーグをはじめとしたトップ大学に入れることが標榜されることが多くありました。そして、今、海外進学を標榜している高校の半分以上はまだそのメンタリティだと思います。現に世界大学ランキングのトップ100とかトップ200とかがよく引き合いに出されますよね。「中堅大学に何人も入れるより、ハーバード大学に1名入れるほうが価値がある」という考え方もあるでしょう。

しかし、海外進学って、そんなにレベルが高くある必要があるのでしょうか。海外進学自体そもそも敷居が高いと思われているのに、トップ大学を引合いに出されてしまったら、いったいどれだけの生徒が海外進学を視野に入れることができるのでしょうか。しかも、その「トップ大学云々」と語る人は、たいてい、海外の大学を全く知らず、エリート志向でものを言っている場合がほとんどです。

このような考え方は、ある意味、今の海外進学の弊害です。海外進学を推し進めているようで、ハードルを上げて、芽を摘んでいるわけです。残念なことです。

トップ大学に生徒を送るというのは本当に夢のある話で、何よりも後輩に対して多大な刺激を与えてくれます。それ自体は否定されることではなく、できる生徒がいれば、サポートしたいと私自身思っています。

しかし、それよりも先に、やはりすそ野を広げることが重要なのではないでしょうか。スポーツで言うなら、競技人口をまず増やし、そのスポーツの活性化を目指す、ということです。まずは
海外進学という選択肢、可能性を一般の生徒に広く開放してあげることを大きな課題として意識していかなくてはなりません。

私はもっと海外進学希望者が出るべきだと思っていますし、潜在的にはもっと希望者はいると思っています。これまでは一部のエリートが海外進学を選ぶ、というイメージがあったと思います。もしくは、海外がなんとなく好きな人がコミュニティーカレッジ(2年制大学)に行く、といったような感じです。

しかし、もう海外進学は一部の人のためだけではありません。これからは「みんなの選択肢」です。もっと身近に海外進学をとらえ、一般の生徒たちが「私でもできるんだ」と考えられるようにしたいな、と思っています。



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