これらのハードルはカウンセリングの時に頭に入れておくとよいでしょう。私は、いつも、この4つを提示し、確認するようにしています。
最近では、保護者が関心を持ち、乗り気で、本人はそこまで考えていない、というケースもあります。もちろん本人の意思がないと何の話も進みません。
しかし、話をしてみて、少しずつ芽生えてくる気持ちもあります。生徒本人も情報がないし、ちゃんと話をしたことがないので、「そこまで考えていない」というケースもあります。
保護者主導であっても、芽生える可能性があるのなら、とりあえず一度話をしてみましょう。一方で、生徒との1対1のカウンセリングも別に用意し、本人の意思を確認する機会も設けてみましょう。
これこそ一番のポイントになります。海外進学は保護者の理解とサポートが絶対不可欠です。
これまで、幾度となく、保護者が海外進学に否定的という理由で海外進学をやめた生徒がいます。保護者の方も、経済的な問題や、家庭の方針もありますので、なんら非難することでもありません。子供は勝手に夢を見ますが、保護者には現実的な観点も必要です。
保護者の方が海外進学に正しい理解をしていただけず、かたくなに否定するといったケースもありますが、多くは保護者の方は子を思う気持ちと現実との板挟みになっています。カウンセリングをしていると、「私も親なので、できれば夢をかなえてあげたいけど・・・」という思いを聞くことが結構あります。そのあたりは教員が、両者の立場を理解し、話をしていかなくてはいけません。
場合によっては、保護者と1対1で面談を持ち、子供の前では言えない本音をぶつけてもらう機会も必要です。
ここでいう学力は@評定平均、A英語力ということになります。
特に、評定平均については、過去の成績は今から頑張っても書き換えられません。低くても行けますが、当然選択肢は狭まってしまいます。私は、「評定平均5段階で4以上」というのを1つの目安にしています。
アメリカでは、高い大学だと年間4万ドルほどの授業料が必要になります。安くても2万ドル近くはかかる算段です。もっと安い学校もありますが、もちろん選択肢は狭くなります。それを3年間ないし4年間払うわけですから、家計の負担を考えざるを得ません。
しかし、この経済力については、これ以上の額は絶対的に無理という場合もいれば、我が子の頑張り不足を見て、「こんな様子なのに、わざわざこれだけお金出して、海外行かせる意味はない」という場合もあります。私の経験上、このケースは結構多いですね。
その場合は、「今の程度の努力では海外に行かせない」という理屈が先に来ますので、経済的な解消がされても、了解が取れません。このような本来は経済的な話ではない部分もあり、これは保護者と話をしてみないと分からない部分です。
これら4つのハードルは本人・家庭の抱えるハードルですが、学校としてバックアップのシステムがあり、指導できる教員がいれば、対応できる部分も多くあります。
経済力1つとっても、お金を払ってあげることはできませんが、奨学金を紹介してくれる学校を勧めたり、また、アジア圏の留学を視野に入れたりすることでクリアできることもあります。保護者にしても、正確な情報と前向きな取り組み姿勢を見せれば、理解をしてくれます。
このように、学校と人材が成熟すれば、本人・家庭のハードも下げてあげられるということは、心に留めておいていただきたいと思います。