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どこに留学するのか 留学先のイメージ作り

最初から行きたい大学が決まっている人は別ですが、そうでない人は、なんとなく「この国がいいな」とか考えていきますよね。特に学部留学の場合は、最初から出願大学が決まっているというケースは稀で、カウンセリングを通して、大学を絞っていくものです。

最終的には自分に合った大学、自分が納得できる大学を見つけ、そこに出願するのですが、そのずっと前の段階の「はじめの一歩」として、留学先のイメージ作り、ということを考えていきたいと思います。

本能!夢!好奇心! でも、他の選択肢にも視野を広げよう

留学は夢を追う場所です。漠然と「この国がいい」という憧れもあるでしょう。かぶれているのかもしれません。でも、それでもかまいません。自分の本能や夢を大切にしてください。最初はそんなものから始まるのです。

ただし、それで猪突猛進になるのではなく、それ以外の国や地域も選択肢として捨てずに、しっかり調べてください。もっといろいろな可能性があるかもしれないし、より良い選択肢に出会えることもあります。最初の選択肢を貫くにしても、その選択を客観的に評価できるようになるためにも、他の選択肢を最初から捨ててしまうのは得策ではありません。

例えば、最初から「アメリカに行きたい」と決めている人がいます。その気持ちは大切にしてほしいのですが、一方で、アメリカに決めるほどアメリカのことを知らず、また他の選択肢についてもはなから除外するほど知っているわけではないらないということが往々にしてあります。

まずは、色々な可能性があるのだということを意識してください。そして、その可能性を自分でつぶさず、自分で視野を狭めないように、「第一志望は譲らない、でもほかの選択肢にも視野は広げる」というスタンスを取ってほしいと思います。

そこで、留学先を決める条件を書き連ねてみます。

留学先を考える諸条件

@ その国の教育システム

同じ海外進学でも、国が変われば、教育制度も教育文化も変わります。特にアメリカ系とイギリス系では、学び方というようなソフト面ではなくて、システムというハード面自体が全くもって異なり、この2つを同じ土俵で考えるには難しいものがあります。

詳しくは、別のページで説明をしますが、その違いを理解し、どちらが自分のマインドに合うのか考えていく必要があります。

A カリキュラム・学問分野

やはり「何を勉強したいのか」という軸が大切です。では、「勉強したいものが決まっていないといけないか」、必ずしもそうとも限りません。専門と研究を重視するイギリス系は専攻を決めておく必要がありますが、一般教養と実学を重視するアメリカ系ではそうではありません。とは言っても、何も勉強したいことを考えていない、というのは問題ですし、出願理由ぐらいは書けるようにしないといけませんよね。

学部留学は狭く考えすぎる必要はありませんが、大学院留学では、ここが一番大切ですよね。大学院では、教授やプログラム、修士論文の有無、実践系(Practical base)か研究系(Research Base)か、など、考えていかなくてはなりません。

B 都市の環境、治安

簡単に言えば、都市部か郊外か田舎か、ということです。大学の立地区分は大きく、UrbanSuburbRuralという3段階(もしくはCityを入れて4段階)に分かれています。

一概には言えませんが、これらの違いは治安、留学生の数などにも関連します。田舎に行けば不便な分、留学生の数も少なくなり、また学生生活に集中できる環境がある(というより、学生活以外にすることがない?)ということもあるでしょう。


治安は重要ですよね。安全に越したことはないのですが、しかし、そもそも「日本ほど安全な場所はない」、そして「どこに住んでも危険を近づけるのも遠ざけるのも自分自身」という意識が大切になります。どの都市に住むかというより、その中でどの地域に住むか、どう生活するか、ということのほうがよっぽど関係するのではないでしょうか。

またアメリカでいうなら、同じ国であっても、東海岸、中部、西海岸もしくは北部、南部ということで環境というか文化が異なります。また、民主党が強い、共和党が強いといったことにも表れますが、州によっても、単純に言えば、革新か保守かという個性があります。

今はどこにいっても留学生が多くいますが、それでも留学生、移民に対する態度というものも多少変わってくることもあるでしょう。特にアメリカは民族や人種の多様性に富みながら、矛盾を抱えている国です。人種に関わらず、宗教、同性愛者などのマイノリティーに寛容な部分と厳しい部分とそれぞれ特色があります。


私はサンフランシスコの大学院に行っていました。私にとっては抜群の場所で今でも大好きです。日本ほど便利な場所はありませんが、やはり大都市は便利です。不便だな、と思いながら留学することに私は魅力を感じませんでした。日本食もあるし、自炊にも困りません(食事は留学では本当に大切です)。閉鎖的な環境で息苦しくなることもなく、時間があるときはいろいろなところに足を延ばしました。サンフランシスコは地元に住んでいる人間が楽しくなる観光地でした。海が近いというのもよかったです。泳ぐわけではありませんが、海が結構好きだったのです。治安は大都市なので危険な部分もあったでしょうが、自己管理ができていれば、さほど危険を感じることもありませんでした。留学生が多いことも私にとってはプラスでした。また私の専門はTESOL(英語教授法)だったので、移民や留学生が多いアメリカの都市というのは、分野の特性上、重要でもありました。

もちろん、あくまでも私個人の感じ方です。どこがいいのかということは学部留学か大学院かでも異なりますし、その人の性格、考え方にもよります。私も学部留学だったら、田舎までいかなくても郊外を選んでいたかもしれません。

C 大学の種類、環境

1つは規模です。大きい大学、小さい大学、それぞれメリット・デメリットがあります。

大学はいくつかの種類に分けることができますが、ざっくり言って大学院を持っている大学なのか、学部重視の大学(主にリベラルアーツ大学)という2つがあります。大学院重視、研究重視の大学では、学生の半分以上は大学院生ということもあります。

一般的に、リベラルアーツ大学を中心として、人数が少なく、クラスサイズが小さいところが好まれますが、その分授業料の相場も高くなります。

留学生という点では、「日本人の少ないところがいい」という人がいますが、最近はどこに行っても中国人、韓国人をはじめとしてアジア人の留学生は多くいます。これを良しとするか、悪いとするかは一概には言えません。良い学校だからこそ留学生が集まっている、というケースも多くあります。

ただ、それが自分にとって良い学校になるのか、やはりアジア人の留学生が多すぎることで、「みんなが集まる良い学校でも、私にとっては良くない環境」になるかは、それもケースバイケースでしょう。

D 寮や住宅環境

学部留学の場合は、12年生の時に寮に入ることも、とくに郊外、田舎の学校であれば一般的です(リベラルアーツ大学ではほぼ義務みたいなものです)。高校生の保護者であれば、まずは「学校の寮に住んでほしい」というのもあるでしょう。

一方都市部では、学部生でもいきなりキャンパス外に住むこともあります(私のサンフランシスコの大学はそうでした)。それでも一人暮らしは稀です。ルームメイトと一緒に家を借りたり、家賃の高い都市部では場合によっては2人で1部屋ということもあります。

ちなみにサンフランシスコの家賃はバカなほど高く、私も3人で2LDKに住んでいたりしました。そのあたりは、また「MAX留学体験記」みたいな感じで紹介していきます。

E お金

言うまでもありません。

しかし、お金がないから早々に諦めるというのは結論を急ぎすぎです。奨学金を得られる可能性もあります。また、確かにアメリカ、イギリス、オーストラリア、このあたりになると学費、生活費はかかりますが、他の国、地域であれば、もう少しコストが抑えられたり、台湾などアジアの留学であれば、その費用負担はずいぶんと軽くなります。

私も大学院は自分のお金で行きました。実際は親に借りていったんですが、すべて返済する約束をし、実際に教員になってから全部完済しました。その中で、自然と志望校が絞られてきました。お金が無限にあれば別のところに出願して、そこに進学していたかもしれませんが、無い袖は振れません。夢見ることがお金を生んでくれればいいんですけど、現実はお金と相談をしていかなくてはいけませんよね。

F 留学生サポート、ESL

留学生を多く受け入れている学校は、International Student Officeのようなものを持っていて、留学生のあれこれをサポートしてくれます。

ESLの授業があるかどうかも、人によっては検討要素かもしれませんね。アカデミックイングリッシュ、アカデミックスキルを磨くという意味では有効ですし、特にライティングに関して重要だと感じます。

この他にも、場合によっては手厚い留学生サポートがあるところがあります。ライティングのチューターをしてくれるところ(無料の場合もあり)や、最初のうちはノートを取るアシスタントをしてくれるなど、といった大学もあります(それが良いかどうかは別として)。

また留学生の団体やサークルを持っている大学がほどんどです。留学生同士で交流したり、留学生の先輩としてこれから入学する留学生のお世話をしたり、といった感じです。実際に私の教え子で留学している生徒たちもそういうサークルに入って活動しています。

留学生サポートがどこまで必要かは議論の分かれるところです。むしろそのようなサポートがないほうが良い、「環境に飛び込み、環境に慣れろ」という部分もあるでしょう。

しかし、いずれにしても、海外に行けば「自分が外国人になり、留学生になる」ことは事実です。それは思ったより毅然とした事実として目の前に現れます。留学生という視点から、どのような大学が良いかを考えてみるのも良いのではないでしょうか。

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