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総合大学を知ろう

重点は大学院

まず、最初に認識をしていただきたいのは、研究系総合大学の重点はどちらかというと学部よりも大学院に置かれています。

日本的なイメージだと大学生がメインで、在籍数の1020%が大学院生という感じですよね。そういう学校も数多くありますが、有名な大学の中には、大学院生が大半を占めるということがざらにあります。

ハーバード大学を例にとると、全体の在籍数20,000ほどに対して、学部生は6700人ほど、実に3割しかいません。特に、私立の研究大学ではこの傾向が強いです。

なので、特に大規模校の学部教育は、悪く言えば、護送船団方式のような大量処理型の授業と言えるところがあります。

良くも悪くも最大の特徴は大規模であること

大学院、博士課程まで併設されているので、何よりも生徒数も多く、いわゆる1万人以上の「大規模大学」が多いです。その上の「マンモス校」は3万人以上となりますが、多いと5万人を超える大学もあります。

やはり、メリットもデメリットもその規模に起因する特徴が多くあります。下の地図は、アメリカ最大級のUCLAのキャンパスマップです。

縦、横ともに1.5キロほどの広大なキャンパスです。青は全て建物です。黄色は何かわかりますか?・・・駐車場です。駐車場だけでも、13個もあります。平日はキャンパス内をシャトルバスが走っているほどです。


○ 教授一人あたりの生徒数が多く、大人数の授業が多い

「教授一人あたりの生徒数」をStudent-Faculty Ratioと言うのですが、この数値は特に公立では顕著に高くなります。要は大人数の授業が多くなるということです。

一方、私立では、授業料を多くとっていることもあり、数値が低いのですが、それもどちらかと言うと大学院に偏った話で、学部では、クラスの規模がある程度は大きくなる傾向は否めません。

マンモス校では、学部は大きな教室、場合によっては講堂のようなところで授業が行われることが多いです。大学院は少人数でセミナーを行うこともありますが、学部では大規模な授業が多くあります。

オーストラリア・アデレード大学の大学1、2年の授業を見学したことがありますが、下の写真のように、大きなホールで300〜400人ほどが集まって授業していました。それも映画館のように、机がない座席だけの場所で、教授がマイクで早口で講義をしていく、、、そんな光景を目にしました。欠席してようが確認の術もない、ほぼ一方通行の授業ですよね。


(写真:カナダのMcLean紙、大学ランキングのトップページより )

○ 授業は教授でなくTAが教えることもある

大規模校になれば、学部の授業は教授ではなく、TA(Teaching Assistant)という大学院生が教えることもあります。と言うより、その形態がメインである大学も多くあります。

メインは大学院ですからね。。。大学行って、大学院生から学んで、、、やはり理想的ではありませんし、モチベーションも下がってしまいますよね。

しかし、
そうではない場合もあります。今回はここを強調しておきます。

私の大学院時代の指導教授Thomas Scovelは、言語教育や応用言語学の世界の大御所と呼ばれる人でしたが、彼は実際に学部の授業をしっかり教えていました。しかも、専門科目ではなく、外国人に英文法とライティングの授業をしていたのです。

私もそのクラスのTAをやっていましたが、生徒たちは自分たちに教えてくれているおじいちゃんがそんなビッグネームとはつゆ知らず、気さくに交わっていました。

「大規模校は教授が教えてくれないからダメ」と決めてかかる留学カウンセラーがいますが、それも場合によりけりで、こんなケースもあるのです。

○ キャンパスが充実している

生徒の数がおおければ、キャンパス、施設の充実度が違います。先ほどのUCLAのキャンパスマップのとおりです。中には映画館が学内にあったりする大学もあります。

また、大きい大学だと、「UniverCity」大学自体が町であり、スーパーやショッピングモールなども学生のためにある、という街づくりをしています。私が行ったことあるキャンパスでは、スタンフォード大学がまさにそのような作りになっています。

もちろん「便利」という利点があるのですが、大学生にとって、もう一つ見逃せない差があります。図書館の充実度です。

学部後半から大学院にかけては、論文を読み、リサーチするということが必須になりますが、蔵書数、ジャーナル購読数、オンラインジャーナルへのアクセスという点で、大きな図書館設備を持っているところはありがたいですね。

大きなキャンパスになると図書館も複数あったり、メインの図書館の他に学部ごとの図書館があったりします。ちなみに、UCLAはLibraryと名称着くものは小さいものも含めると10以上あります。

普通の規模の大学なら、一通りの学問ができる図書館があると思いますが、州立の小さい大学などでは、支障が出てくることもあるでしょう。

ちなみに、海外では図書館も24時間空いていることも珍しくありません。私も最初は深夜まで図書館にいたりもしましたが、ダメですね、集中できませんし、疲れが残る。すぐに終わりました。


UCLAのPowell Library。色々な映画の舞台にもなっています。

○ 授業の種類、活動の種類が多い

次に、専門の種類、授業の種類が多いということがメリットです。

やはり、生徒が多いだけ、学ぶ幅の選択肢は広くなります。また、人数が多い分、サークルやボランティアなどの活動も多種多様で、充実しています。

○ 外国人留学生が多い

総合大学は、大学院、学部共に多くの国から学びに来るので、多様な文化背景を持った生徒が混在をしています。

アメリカの場合、私立は授業料も高いですが、教育の質を求めて、多くの留学生が集まります。一方で、州立は、留学生に授業料収入を一定程度頼っているという側面もあり、かなりの留学生が多くいます。リベラルアーツカレッジと比較すると、ずいぶん差があると言えます。

私の行っていたSan Francisco State Universityは留学生比率が全米でもトップレベルに高い大学でした。特にTESOL(英語教授法)という私の専門分野の特性もあって、授業ではアメリカ人より留学生の方が多かったような気がします。

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