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コミカレから4年制大学への編入という道

2+2(ツープラスツー)

コミカレは昔から今に至るまで日本人の留学先としてポピュラーな選択肢です。

最近では、「2+2」という言葉も使われるようになりました。簡単に言えば、コミカレから4年制への編入です。最初の2年をコミカレで学び、後半の2年を4年制大学で学ぶという概念です。


きっとこんなうたい文句を見るはずです。

・英語力が低くても、入学できます。

・高校の成績が低くても入れます。
・授業料が低く、経済的に優しい。

英語力が足りない、成績が足りない、お金が足りない、、、これらの「足りない」事情を抱える生徒にとっては、確かにコミカレは1つの選択肢となりうるでしょう。

時に「コミカレから名門大学へ」というサクセスストーリーを耳にし、憧れを持つ人もいるかもしれません。「いきなり4年制大学に入るより、コミカレから始めたほうが良い」なんて極端なことを言う人もいます。

しかし、セールストークのようにはいかないケースも多々あります。

はたして本当に名門大学に編入できるのか?本当に、4年制大学に行くよりコミカレのほうが良いのか?

コミカレはしっかり理解して、しっかり取り組めば、留学の1つの手段として有効です。しかし、もしその理解がなければ、「こんなはずじゃなかった」と言っているかもしれません。

3つの「こんなはずじゃなかった」

○ 勉強の環境が整っていない

コミカレにはいろいろな生徒がいます。出身国や経済層、年齢も様々です。そして、そこに集まる人のモチベーションや目的も学業に対する取り組みも様々です。

編入組と言っても、本気でトップ大学の編入を視野に入れている生徒もいれば、いたずらに何年もそのカレッジに通っていて、編入できておらず「遊びのための留学」のような生徒も少なからずいます。

もちろん自分が頑張る限り、周りは関係ないのですが、そうは言いつつも、流されてしまうのも人間です。

また、確かにコミカレでも勉強は大変かもしれませんが、4年制大学ほどではないでしょう。乱暴な言い方かもしれませんが、最初に遭遇する環境と恵まれる苦労の質が留学のクオリティーを決めるということも一理あります。

気が付いたら「こんなはずじゃなかった」とならないように、自覚と責任がより一層求められます。

○ お金が想定以上にかかる

前ページで述べた通り、コミカレと言えども年間250300万円は見積もる必要があります。渡航費なども含めたら初年度は350万。この時点で「こんなはずじゃなかった」と予算オーバーを気にする人もいるでしょう。

しかも、これは2年間で卒業できるケースです。英語力や学力がぎりぎりの生徒がいきなり授業についていくのは難しく、最初は集中英語プログラムを義務付けられたり、2年間では十分な履修ができず、2年半ないし3年かかることも珍しくありません。

その場合、授業料、生活費は膨らんでいき、気付いたら編入どころか、コミカレ卒業まで持たないというケースも出てきます。

○ 編入が思い描いたところに行けない

「コミカレから名門大学へ」、そういう夢を描いて2+2を目指すわけですが、このサクセスストーリーは一部の学生に限られた話です。

編入はできるかもしれませんが、当初志望していた名門校に入るのはなかなか難しく、コミカレに近い地元の州立校に落ち着くことが一般的です。

編入には成績や諸活動が重要になりますが、やはり「英語力、学力ともにコミカレからスタートせざるを得なかった大多数の生徒にとって、いきなり成績を取るのは苦難の業です。なかなか名門校編入で必要とされるような好成績を最初から維持していくことは難しく、結果描いていた編入には届かないということが往々にしてあります。

しかも、成績や授業レベルの基準不足(専門性に合わせて科目番号がナンバリングされている)などを理由に、単位の移行がうまくできず、結局大学1年から入り直した学生も知っています。

2+2を目指したはずが、結果的に2+4や3+4になることもあり、留学費用も雪だるま式にかさんでいきます。

なぜエージェントはコミカレに送りたがるのか

それは、ずばりコミカレが「量販的かつ低リスクな商品」だからです。留学業界において、語学留学とコミカレはドル箱なんです。

まず、英語力や成績、予算という点で、より幅広い層の生徒を引き受けることができます。ビジネスマーケットとしてはパイが大きいことは重要な条件です。

そして、ある程度のTOEFL基準点を超えただけで、合格の見通しもつけられますし、成功の約束もしやすく、質の高いカウンセリングも必要としません(だって基準を超えていれば合格するから)。

しかも、エージェントがコミカレや語学学校からロイヤリティ(契約料)や広告費をもらっている場合も往々にあり、生徒を提携先に送ると先方からお金が入ることもあります。

これ自体は悪いことではありません。ただ、問題は、ロイヤリティありきで、提携先に話が流れてしまうことです。

4年制に直接行くだけの力がある生徒に対しても、安易にコミカレを勧めてくるエージェントもあります。提携先はあくまでも手段であって、重要なのは、生徒11人の希望や能力、適性に合わせてちゃんと「その生徒のための留学」を作ってくれるかですよね。

そういう視点をこちら側が持って、エージェント選びやお試しカウンセリングに臨みましょう。

私だったらどうするか

論調を見てわかる通り、正直なところ、私はあまりコミカレを生徒に勧めません。

4年制大学でも、州立なら授業料にさほど大差ないところもありますし、スカラーシップ提携を結んでいるエージェントを通せば、コミカレよりもむしろ安く行ける大学もあります。

さらに、上で述べた通り、コミカレでも3年かかってしまうこともあれば、編入がうまくいかないことも多くあります。そして何よりも、「充実したアカデミック生活を送れるのか」という意味で、やはりリスクが否定できないからです。

少なくても生徒を直に指導する立場としては、中堅レベルでもいいので4年制大学に進むことを最初の選択肢として提示します。もしTOEFLや成績面で4年制が相当厳しいのであればそこでコミカレが選択肢も検討します。

ただ、個人的には、最低でもTOEFL60、評定平均3.0以上(4段階)が担保できていないのであれば、日本の大学に行って、その後の留学を考えるほうが理にかなっていると思います。

コミカレを否定するわけではありません。人によってはとても良い選択肢にもなりえます。

4年制に届かない生徒にとってはコミカレという留学からスタートするのも決して悪いわけではありません。

実際、コミカレ経由で難関校に編入する生徒も一定数いることは認めますが、しかし、それは
「万人に当てはまるストーリーではない」ということは、保護者も生徒も、そして指導する教員も理解しておかなくてはいけません。

セールストークだけを鵜呑みにするのではなく、コミカレという特性が自分の留学目的に合うのか見抜いて、自分で責任を持って選んでほしいと思います。

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