グローバル教育がトレンドになりつつある今日ですが、実際にどれぐらいの学校が取り組んでいるのでしょうか。コアネット教育総合研究所が行ったアンケートのなかで3つの項目を見てみましょう。
とても意識している | 51% |
まあ意識している | 38% |
あまり意識していない | 10% |
全く意識していない | 1% |
重要だと思う | 実現している | |
コミュニケーション力 | 91% | 39% |
多様性を受け入れる力 | 74% | 31% |
相手を理解する力 | 69% | 30% |
プレゼンテーション力 | 68% | 32% |
論理的思考力 | 53% | 11% |
自分の考えを形成する力 | 52% | 16% |
自己主張する力 | 44% | 13% |
文化教養力 | 40% | 8% |
ディベート力 | 37% | 8% |
クリエイティブ力 | 34% | 6% |
歴史館 | 30% | 5% |
宗教教育 | 16% | 11% |
人を巻き込む力 | 12% | 1% |
哲学や古典から学ぶ力 | 12% | 3% |
その他 | 5% | 5% |
特別行っていない | 36% |
特定の学年で年間数時間 | 17% |
特定の学年で毎週数時間 | 11% |
6年間通じて年間数時間 | 10% |
特定の学年で半年に数時間 | 5% |
6年間通じて半年に数時間 | 4% |
6年間を通じて毎週数時間 | 15% |
最初の問いにあるように、漠然としたニーズはあるみたいですね。なんとなくやらなきゃ感があるのでしょうが、「とても意識している」と答えた学校も含めて、実際に「やってる?」と聞かれると、「やってるやってる!」と答えられるかどうかは疑問ですね。
また、重要だと思っているけど、なかなか学習に組みこめないのが実情のようです。大きなハードルは2つです。
1つ目は、これをやる(やれる)人材がいないということです。専門職がいないという問題と、財政的にも組織的にもこれに人を割くだけの人的余裕が学校にないという問題です。
2つ目は、教科カリキュラムをこなすので精一杯で、時間的、カリキュラム的に余裕がないということです。特に新課程教育がはじまり、センター試験で理科の負担が増えたり、公民の4単位受験が主流になったりしましたが、それに対応するために今の学校はパンパンのカリキュラムで回っています。私もカリキュラムを検討する委員会に入っていましたが、今の文科省のガイドラインでは、各教科ギリギリの時間数で授業を行っているはずです。
最終的には、IBのように各教科の中にグローバル教育を組みこむことが理想形でしょうが、なかなか現状は難しく、実際には総合的な学習の時間を使ってちょっと行っているというのが正直な現状かと思います。
まあ、この調査自体は、グローバル教育の定義、ビジョンや内容も不明確なままで行っており、これがグローバル教育の現状だと言うには不十分かつ不適切な部分もあります。しかし、学校の意識や取り組みを知る上で、1つの資料になるでしょう。
また、この調査によって学校によってグローバル教育の捉え方がバラバラだということもうかがい知れます。どの学校も「グローバルと言われてもどうしよう」「他の学校はどう出るかな」と暗中模索しているというのが本音でしょうね。