議題はAgenda Itemと言われ、その会議のテーマとなるものです。
国連では、国際社会や人類が直面するありとあらゆる議題について議論がされます。そのため、議題の数や種類も膨大で、実際の国連総会でも毎年160を超える議題が採択されています。
模擬国連でも多様多種な議題を扱います。定番で言えば、「安保理改革」「児童労働」「核軍縮」「エネルギー安全保障」などがあります。
会議の冒頭に議題の採択(議題を決める)という手続きがありますが、もちろん模擬国連の場合はあくまでも形式上のことで、実際は最初に議題が決められていて、本番までに参加者はその議題についてリサーチをしていることが前提です。
何について話し合い、どこで国益がぶつかるのか明確であれば、政策も立てやすく、議論が活発になります。核軍縮、安保理改革などは対立軸が明確で初心者にも取り組みやすい議題です。
平和問題、食糧、エネルギー、水資源、環境保全のように、どの国も「白国の課題」としてとらえることができる議題であれば、国益も政策も分かりやすくなります。
あらゆる国際課題のベースには文化、そして宗教があり、それらは完全には切り離せませんが、特にAIDS、女性の地位の問題、LGBTなど、宗教的な側面が深く関連する議題は、精神、信条の問題になってしまい、それがハードルになって交渉が進まないことがあります。
もちろん、これらも避けずに取り組むべき課題ではありますが、多少扱いづらいかもしれません(私の指導している生徒は宗教が絡む議題が一番やりづらいと言っています)。
一方、気候変動や核、食糧、エネルギーなどは宗教との関連 性が比較的薄いと言えます。
議題や論点がSDGsに直接的に基づいた設定になっていると、いつまでに、何を目指すべきなのかという会議ゴールがより明確になります。
加えて、「2030年」をタイムラインとして設定することで、短期、中期、長期にわけた解決策のフレームワークが組み立てやすくなります。
模擬国連、国際課題と聞くと「難しい話なんだろうな」と思うかもしれませんが、実はいろいろなトピックでできるのです。
その中の代表例が「国連弁当」「国連カフェ」のメニューを作るというものです。
どの国もできるだけ自国の特産物を使い、自国の文化に合った弁当を作りたいという思惑があり、それに文化や宗教や気候という要素や、上級者になると食糧安全保障の要素も加わり、初級者から経験者まで参加できるプログラムです(上級者が国連弁当を議題に紛糾する姿もなかなか面白いです)。私が帰国生の授業でやった時には、売上金の分配や用途も論点にして行いました。
他にも「国連Tシャツ」をデザインするというものもあります。
私自身が考えたものとして、「どこでもドア」をテーマにした空想模擬国連というものもあるぐらいです(企画しただけで実際にやったことはありません)。
「どこでもドア」が発明されたという仮定で、国際移住や国際輸送、治安問題をはじめとした国際ルール話し合うものです。また「世界共通のどこでもドアをデザインする」というゴール設定であれば、言語、文化、気候、材質などが関係し、議論も面白くなります。