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模擬国連の基礎 実践編F 投票

3つの投票方法

アメンドが出そろい、議論が尽くされた後、スピーカーズリストから発言国がなくなるか、もしくは討議終了のMotionが可決されれば、投票に移ります。

投票には主に3つの方法があります。投票に際して、モーションを募集して、どの方法を取るのか決めます。(分割投票は、模擬国連では通常採用されません。)

上から順に優先順位が高いので、仮にロールコールのモーションが出された場合は、コンセンサス投票を希望する国がいても、ロールコールになります。

ロールコールでは、Yes、No、Abstention(棄権)の3つで投票をします。1回だけパスをして、他国の投票を見ることも許されています。

Abstentionは一応深い政治的な事情があり、YesもNoも言えない場合に使います。「賛成でも反対でもどっちでもない」「決めかねる」という意味合いでは使いませんので、安易に棄権はしないようにしましょう。

また、
自分がスポンサーとなっているDRには賛成票しか投じることができませんので、責任を持って投票をしましょう。

余談ですが、練習会に初参加した私の生徒で、投票がよく分からなかったようで、自分のDRに対して「Abstention!」とかっこよく言い放ったペアがいました(笑)。


投票行動説明

投票の前後には「投票行動説明」というものがあります。それを希望する国から選ばれるのですが、「私たちはここに投票します」「私たちのDRはこういうものなので、ぜひ投票してください」といったような宣伝ではありません。逆に、自分がスポンサーとなっているDRには言及できません。

では、何を言うか。投票前であれば、「今日は皆さんの誠意と努力のおかげで、良い会議になったと感じています。その努力に感謝し、国際平和を目指して、誠実に投票を行います」といった宣言みたいなものです。

投票後であれば、「私たち、ミャンマーは、今回の投票結果には国際社会の声が十分に反映されていないと感じており、非常に遺憾です」といったような表明です。


採択されたらその後、議長から文書番号の変更が伝えられます。DRからRESへと変更されます。「決議案」から「案」が取れて、公式に「決議」へと変わるのです。

投票の持つ意味

田氏の「国連を読む」を読み、私なりに咀嚼した投票のポイント、意味を以下に記します。

国連としては、国際社会の一致したメッセージと言うことで、満場一致を目指し、コンセンサス投票が取れれば理想ですが、全加盟国が賛成できるものとなると決議の抽象度が高く、
実効性、具体性が乏しいものになってしまいます

実効性、具体性に富んだものにすると、利害がより明確にぶつかるため、反対する国も多々出てきます。その場合、 ロールコール投票が行われるわけですが、この方法では、当然自国の投票が公になります。採択の是非はともかく、
国際社会に自国の態度を示すという意味合いもあります。「この決議は仮に採択されたとしても、私たちは従う気がありません」と反対姿勢を表明する場にもなるのです。

ロールコールで採択されたとしても、過半数の支持を得ただけで、同様に反対票も投じられているので、「国際社会一致のメッセージではない」ということになってしまいます。実際に、足並みそろって、決議を実行していくのは、これまた課題がでてきます。

最後に、国連総会での1票の意味を考えてみましょう。

総会には193の国が集まっていますが、それぞれが等しく1票を持っています。
国の大きさ、経済力、人口、国連への貢献度、それらに関係なく1国1票です。どんなに大きくてもアメリカは1票だし、逆にアフリカは結託すれば54票もあるのです。

確かに、国連総会の決議は、法的拘束力がありません。しかし、国連の決議である以上、むげにはできないものです。その投票に際して、大事な1票を各国が持っている。そういう思いで、模擬国連でも責任を持った一票を投じてください。


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