本文へスキップ

<<前ページ  次ページ>>

会議の形式

表舞台のスピーチと裏舞台の交渉 

模擬国連の会議を知るために、まずは国連会議をイメージしてみましょう。

国連会議場の映像でよくニュースなどで流れるのは、大統領や要人がスピーチをしているところだと思います。毎年9月下旬に行われる一般演説は、国連総会の開幕を飾る晴舞台で、各国の首脳が集まり10日間ほどスピーチを中心に国際外交が展開されます。首脳が集まるこの期間は会議もびっちり詰まり、まさに分刻みでスケジュールが動いていくようです。


193か国も一堂に集まる総会で実質的な討議や交渉は行われず、延々とスピーチが続いていきます。しかし、それだけで国際外交が終わるはずがありません。スピーチはあくまでも国連の表の顔みたいなものです。

裏の舞台では、非公式な会議が行われます。

そこでは、元国連政務官の田氏によると、「決議案作りなど本音の意見交換が必要な場合は、それぞれの事案のリード国、あるいは決議案の提案国が中心となって少人数の非公式協議を行い、そうした場で作られた決議案の草案が、全加盟国が参加する非公式協議や公式会議で調整されていく」とのことです。

まさに模擬国連のモデ、アンモデと呼ばれる非公式会議と同じです。他にも、廊下外交(Lobbying)と呼ばれる通り、廊下やロビー、スピーチの裏、ランチ、夜のレセプションを含めて、色々なところで実質的な交渉や対話が行われています。これが国連会議の裏の顔、実質的な議論です。

田氏は、総会議場に隣接する代表団ラウンジやカフェに「数時間いれば、10数か国の首相や外相に会えるともいわれる」と述べています。そして、表舞台では「○○大使(The honorable delegate)」と呼んでも、裏舞台では、盟友の大使同士はファーストネームで呼び合うこともあるようです。

この表舞台と裏舞台、それぞれがあって初めて国連会議は機能しているんですね。

模擬国連も同じです。実際には、スピーチは表舞台を再現し、非公式会議は裏舞台を再現しているのです。公式会議も非公式会議も1つの流れの中で行われているので分かりづらいですが、実は舞台設定の異なる会議が交互に行われているという認識が一番正しいのです。

3つの会議スタイル

模擬国連では、公式討議はFormal Debateと呼ばれ、非公式会議はCaucus(コーカス)と呼ばれます。

Formal Debateはほぼ全てスピーチのことだと思ってください。コーカスには、モデ、アンモデと2つあります。なので、会議のスタイルは大きく分けて3種類あると思ってください。


● Formal Debate(公式討議)

公式な会議進行中の議論です。会議の進行、手続き、投票、決議の採択などがこれに当たります。

その中でも中心になるのがFormal Speech(公式スピーチ)です。大使たちがリストに沿って、順番に1分半〜2分ほどで主張や政策を訴えていくというものです。


● Moderated Caucus(モデ:議長調停のある会議)

モデは議長もしくはどこかの大使が進行をする非公式会議です。大使は自国の席に座ったままなので公式会議と同じように見えますが、あくまでも非公式会議の位置づけです。

総会議場ではなく、別室でクローズドに行われている調整会議とでも思ってください。一般的に私たちが思い浮かべる「会議」のイメージに近いもので、細かいやり取りや議論も行います。

全日大会はアンモデが多く、全体の議論と言う意味では、もう少しモデが重視されてほしいと個人的には思います(国際大会はモデが全日大会より重視されるらしいです)。


● Unmoderated Caucus(アンモデ:議長調停のない非公式会議)

The 非公式。非公式中の非公式です。

会場のいたるところで(時には別部屋も使ったりして)、大使が自由に議論し、交渉します。表舞台の華はスピーチですが、交渉や駆け引きの主戦場はこのアンモデであり、各大使かなり気合が入ります。新聞社の締め切り前の編集会議ってこんな感じなのかな、なんて思ってしまう光景です。

会議の大半がこのアンモデに費やされます。特に日本の大会ではこのアンモデが好まれる傾向にあります。ここでは、交渉、意見調整、DRの作成などが行われます。


会議の流れ

先ほど述べたように、表舞台のスピーチ(Formal Debate)と裏舞台の交渉(コーカス)を交互に再現していきます。

2
日間会議の一般的な流れを示しますので参考にしてください。




なお、2日間の会議での文書は一般的には以下のいずれかで設定します。

@ 1日目: WP  2日目: DR
A 2日目: DR  2日目: アメンド

2つの大きな違いは、@のWPはスポンサー兼任を認めることが多いので、複数のグループと交渉を続け、2日目にかけてスポンサーとなるべきDRを判断することができるということです。

他にも上級者向けですが、1日目にWPDR3日目にアメンドという3段階を設定することもあります。

<<前ページ 次ページ>>

バナースペース


HOT TOPICS