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ぬっっコン事件 一時帰国までの時限爆弾

夏休みに控えていた日本への一時帰国。それを待ち焦がれる事件が発生しました。

3月のイースター休暇中のことです。クラスメイトの友人が日本から遊びに来るということで、私も1日だけ一緒にガイドをしました。

サンフランシスコのシンボル、ゴールデンゲイトブリッジの対岸にサウサリートという町があるのですが、そこにフェリーでフェリーでいくことにしました。



ちなみにこれはサウサリートに行く前に友人が荷物を郵便局に持っていくのを手伝っているときの写真です。こんな格好しているから絶対に観光客に間違えられない。

この笑顔の後に、恐ろしいことが起こるとは思いもよらず。

日本から訪ねてくる友人というのは概してマンガなり、食べ物なり、日本のものを差し入れしてくれます。フェリーの中で、私もその差し入れのおこぼれにあずかりました。

日本では定番のアレです。

それを口の中に入れて一口、二口噛みます。すると、急に奥歯に強い吸引力を感じました。まるで奥歯に粘土がまとわりつき、それを掃除機で吸われている感じです。

「ぬっっコン!!」

擬音で表したらそんな音だったでしょうか。吸引から解放されるとともに何かが起きた。次の瞬間、ガリッ!、、、小石を噛んだような感覚です。

あ!!急いで口からそれをとりだすと、やはり粘土の中に埋もれた金属が。

私の銀歯がもっていかれ、外れたのでした。そしてその犯人は、そうハイチュウだったのです。

恐る恐る、舌で銀歯の抜けた個所を探ります。明らかに洞穴の存在が確認できる。やばいぞー、これは食べるのも飲むのもしみるぞー。飲み物を飲むたびに激痛が、、、。考えるだけで恐ろしい。

とりあえず、首を傾けて歯が触れないように水を飲んでみます。次に、口に含んだ水を恐る恐る銀歯の抜けた歯の方向に流してみます。ふーん。しみるような気がする。

奥歯をカチンカチンとかみ合わせてみると神経が響く感じはありました。しかし、電気が走るような激痛を覚悟していた私にはやや拍子抜けです。

その後は、疑心暗鬼になり、1分に1回ぐらいのペースで、舌で歯を確認したり、水を含んでみる連続です。

さて、1つの迷いが浮かびます。アメリカで治療するか。歯の痛みに耐えるか。

これが激痛であれば選択肢は1つしかないのかもしれません。しかし、少なくても今は大丈夫そうな気もする。そうは言っても、歯を使うのは毎日のこと。いつしみるか分からないし、さすがに銀歯抜けたまま一時帰国する夏休みまで持たないだろう。どうしようか。。。

なぜそんなに迷うのか。アメリカの歯医者で治してもらえばいいじゃん。普通に考えればそうですよね。

しかし、アメリカの医療はくそ高い。留学保険でも歯科治療は基本的にカバーされませんし、それ以前に私は現地大学が義務付ける最低限の保険しか入っていませんでした。

大学院の仲間でどうしても歯が痛くて、背に腹を変えられずに現地の歯医者に通っていた人がいましたが、彼女曰く、歯1本、1000ドルぐらいかかるということです。日本円に換算してなんと12万。

これぞ世に言うぼったくり。家賃込みの1か月の生活費を超える額です。

「緊急避難として正露丸を詰めてりゃいいらしいよ」と言う友人もいます。あのラッパのマークかよっ。仮にそれが効くとしても限界があるだろうし、あんな臭いものつめたままあと3か月も生活できるかい!

時限爆弾を抱えながら夏を待つ気分です。一時帰国、、、ハラハラしながら、取れた銀歯をティッシュにくるみその日が来るのを待ちます。

オチを言ってしまうと、結局、その時限爆弾は最後まで爆発することありませんでした。なんとか治療をせず、空洞のまま夏を迎えることができました。

後に分かったことですが、歯をカチカチすると痛い気がしたのは、親しらずだったようです。

さらに、もう1つ後日談として、上述の1000ドルかけて歯医者に通った友人ですが、治療スケジュールがずれて彼女の一時帰国までに治療が完了しなかったということで全額返金されたようです。タダでほぼ完治したとのこと。律儀なぼったくりもあるものですね。

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