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家探し 2年目 家なき子物語(前半)

ドリの家に拾われて 

サンフランシスコに戻ってきました。

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月から航空券の値段が上がるため7月中のフライトにしたい、でも日本になるべく長くいたかったので最も混む731日を避けて、7月30日のフライトを取りました

車を持っている友人が空港まで迎えに来てくれたのですが、2001年のテロから2年経ったその当時も入国審査がめちゃくちゃ厳しく、予想していた待ち合わせ時間を2時間ほどオーバーしてしまいました。

その当時私は携帯電話を持っていなかったので、連絡することすらできず、友人をひたすら待たせてしまいました。

その友人もサマークラスを取っていて、授業の前に無理してきてくれたのに、結局私を待っており授業に出れずにずいぶん気分を害してしまいました。

謝罪のディナーとしてお寿司に連れて行くことを約束して許してもらいましたが、これが実は後日とんでもないことにつながります。

さて、前々回の「フランク  風と共に去りぬ」で述べた通り、1年目に住んでいたアパートは引き払い、荷物はレンタルストレージに預け、新しい家が見つかるまでは友人の家に身を寄せるつもりでしたが、友人の都合が悪くなってしまいました。

私が行く場がなくなり、家なき子になりそうだったところ、別の友人が声をかけてくれました。

彼はドリ(仮名)という名の日系アメリカ人で、1年目にサンクスギビングに誘ってくれた友人です。日本に帰国しているときに彼とチャットで話していた時に家なき子状況を打ち明けたら「なんだよ、遠慮なく言ってくれよ。うちに来なよ。」って。

捨てる神ありゃ拾う神降臨〜♪(涙)

ドリーはお母さんと暮らしていました。彼のお母さんは生粋の日本人ですが結婚をきっかけにアメリカに渡ってきました。話す言語はもっぱら日本語で、英語はあまりできず、食事も日本食です。

泊まる場所があることも食事を用意してくれることも筆舌に尽くしがたいほどありがたかったのですが、何よりもありがたいのはインターネットが使えることです。

サンフランシスコでの家探しはインターネットがメインです。インターネットで良い物件がオーナーから出されるのを見て、その電話番号やメールアドレスに連絡するというのがほぼ唯一の手段です。

今でならスマホがあれば何でもないのでしょうが、貧乏留学生の私は携帯電話を持っていなかったし、例え持っていたとしてもその当時はスマホでもないので、とにかくPCでインターネット検索しない限りは部屋も見つからないのです。

私はリビングルームで寝させてもらいましたが、昼間はドリーがアルバイトで外に出ていたので、彼の部屋のPCを自由に使わせてもらい、良い物件があれば家の電話を借りました。

これは本当に助かる。わざわざ大学の図書館に行って調べ、物件が見つかるたびに公衆電話からかけるなんてことをしなくて良いのです。

しかしこの部屋探しと言うのが意外とうまくいかないものなのです。

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日に1回物件情報が更新されるのですが、1日に掲載されるのは20〜30件ぐらいで、予算、場所、その他条件に合う物件が出てくる保障はありません。多くても私の条件にあるのは数件あるかどうか。良い物件が出てくるかどうかは神のみぞ知る、祈るばかり、という心境です。

物件があれば電話かけ、オーナーと会う約束をして物件を見に行きますが、良い物件が出ないとその日の部屋探しはそこで終わり。何もしようがなく、次の日の情報を待つしかないのです。

自分の中では1週間で見つけたいという思いがありました。

1年目は何も分からずに物件を探しましたが、2年目は地理感覚も身についているし、自分の生活スタイルも分かっているので、物件に狙いが絞れてきますし、そのような物件が出てくるのを待ちます。

「この辺りでこういう物件、こういう金額で」という狙いがあるわけです。しかも私には最低限の金銭的余裕しかないので、もともと予算的に候補から外れてしまう物件が大半です。その狭い選択肢の中から自分の狙いに合致するものはなかなか出てきません。

また到着した直後は時差ボケが本当にひどかった。眠れない時差ボケはありましたが、起きれない時差ボケとしては史上最大級でした。

条件に合う物件が出ない限り何もしようがないし、時差ボケに抗えずに昼寝してしまうし、ドリーのお母さんからすると家でゴロゴロしているだけに見えたことでしょう。「今日はどうだったの?」「いつぐらいに見つかりそう?」「外に探しに行ったりはしないの?」と声を掛けられるようになりました。

もちろん、いくつかコンタクトを取って見に行くのですがうまく決まりません。早く決めたい気持ちもありますが、自分が家賃を払って1年生活する場所ですから妥協するにも限界があります。

数日たって1ついい物件が出てきました。1年目と同じ地区のアパート物件です。物件の投稿主はアジア系の女の子2人で、彼女たちが借りているアパートの1部屋が空いているところでした。

彼女たちは女性のハウスメイトを探していたようで、男が申し込んできて戸惑っていました。

私は何も気にしていなかったし、ルームメイトはただの同居人と思っていたし、アメリカでは男女混合で家をシェアするケースもあるので、1年目同様にリビングルームにカーテンで仕切って済ませてほしいと交渉をしました。

彼女たちは2人で相談をし、後日メールでOKをくれたのですが、やはり会った時に多少渋々感が出ていて快諾という感じではありませんでした。うーん、やっぱり心地よく生活できないかもな、と思ってこちらから断りを入れました。

家探しはまた振出しに戻りました。

そんな感じで45日経ちました。目安としていた期限の1週間も近づいてきて、そろそろ決めたいという思いが強くなってきたところ、家なき子物語が加速していくことが起きました。

つづく。

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