知る、気付く、意識する
最初のステップとして、まず私たちがグローバル教育に対してアンテナを伸ばし、色々な情報、動向、そしてニーズを敏感にキャッチすることが大切です。
具体的には@グローバル社会の変化、A生徒、保護者のニーズ、B他校の取り組みや教育界の動向、という3つの項目に対して「知る、気付く、意識する」ということです。
ニーズについては、これは本題として、後で詳しく述べたいと思います。
まず、「グローバル時代」「グローバル社会」と言うけれど、実際に何が起きていて、どのような変化が求められるのか知らなくてはいけません。
教員は学校という箱の中に入るので、案外グローバルの波から守られているのです。生徒がこれから飛び出していく社会がどのような社会なのか、学内に入ると分からないことも多く、そこにアンテナを伸ばす必要があります。このサイトでも最低限知っておくべき情報は掲載しているつもりですので、参考にしてください。
最後に3つ目として、文科省の動き、グローバル教育先進校、IB、SGHなど、モデルケースを知っておかなくてはいけません。それらの例を自校にそのまま落とし込めるわけではありませんが、参考になる要素はたくさんあるはずですし、視野が広がります。
ニーズを掘り起こす
「グローバル教育に対する生徒や保護者のニーズはどうですか」と聞かれることがありますが、学内で思っているより、ニーズは大きいと感じています。やはり、保護者の皆さんが企業で働いており、「グローバル展開しないと生き残れない」「英語が話せないと仕事にならない」など、最前線で荒波を受けているので、学校の教員よりもはるかにグローバルということは理解されているケースも多くあります
特に「21世紀型スキル」「グローバル教育」を標榜している学校では、特に父親の反応が良いという話を聞きます。ご自身が身を持って体感しているからこそ、必要性を認識しているのでしょう。もちろん保護者によって温度差はあります。それも含めて、「グローバル」に対してどのようなニーズがあるのか、気づくことが大切です。
そして、さらに重要なことはニーズを掘り起こすということです。これを分かっている学校はグローバル教育の意識は一流です。
例えば「留学に興味ある人いますか?」と聞いても、挙がる手はまばらかもしれません。しかし、日常からグローバルな意識を持たせ、留学ガイダンスなどを行い興味を積極的に植え付ける仕掛けをしていると、もっと多くの生徒が反応します。それもただ単にガイダンスを行うのではなく、「ここではこういうモチベーションを持たせよう」など3か年、6か年の流れで仕掛けを連動させて作っていければ最高です。
ここがグローバル教育の成否を分ける1つのカギになります。ニーズを待つのではなく、ニーズを積極的に掘り起こす、むしろニーズを作り上げるという取り組みをいかにするかということですね。
具体的な話を例に出すと、文科省が行った留学に関する意識調査があるのですが、「留学に興味ある」と答えた高校生は42%でした。この数字自体衝撃ですよね。学年で数人しか留学に行かない現状に隠れた形で、実はクラスの半分近くは留学に興味があるんです。この数字をもっと高めたいというのがトビタテ!留学JAPANなどの取り組みになっているわけです。
実は、この調査、私が前任校でグローバル教育部長を行っている時に、文科省からアンケートの依頼が来て、3クラスで実施しました。さて、どのぐらいの数字だったと思いますか。
驚いてくださいね。110名中90名、実に80%の生徒が「興味ある」と答えたのです。留学するクラスを1クラス含んでいたので、数字が高くなるのは当然ですが、それを差し引いても全国平均とはかけ離れた数字です。
でも、この数字が例外なのではなく、どの学校にもこれに近い潜在的なニーズが眠っている、と思っています。火を付けたらそれだけの生徒が動き出す、ということです。・・・どうやってここを耕すのか、ということが重要だと思いませんか。
ただ、ニーズを掘り起こしても、その芽をサポートするシステムや人がいないと萎んでしまいます。学校としてどのように取り組むのか、ここから問われてきます。