DRもしくはアメンドが出そろった後、以下の2つの手続きで投票に移行します。
1. スピーカーズリストから発言国がなくなる 2. 討議終了(Closure of the debate)のモーションが可決される |
投票の前後には「投票行動説明」というものが設定されている会議があります(省いている会議も多くあります)。
これは希望する国から選ばれるのですが、「私たちはここに投票します」「私たちのDRはこういうものなので、ぜひ投票してください」といったような宣伝ではありません。
逆に、自分がスポンサーとなっているDRには言及できないという制約があります。
では、何を言うか。投票前であれば、「今日は皆さんの誠意と努力のおかげで良い会議になったと感じています。その努力に感謝し、国際平和を目指して誠実に投票を行います。皆さんも国益と世界の共通の利益をしっかりと考え、責任を持った投票をされることを期待します」といった宣言みたいなものです。
一方、投票後であれば、「私たち、ミャンマーは今回の会議そして投票結果には国際社会の声が十分に反映されていないと感じており、非常に遺憾です」といったような表明です。
投票行動に移ったら、それ以降の退席はできません(議長からアナウンスが流れます)。
もし深い事情で退席を願い出たい場合は、その前までにしなくてはなりません。ただし、自国がスポンサーになっているDRの投票には欠席ができないことになっていますので、現実的には退席はできないことになります。
これまであったケースで、ペア同士で揉めてしまい、憤慨した片方の大使が投票前に退席したという例があります。もう1人が会場に残っているため欠席にはならず、一応ルール違反ではありません。
投票には主に以下の3つの方法があります。
まず、投票方法に関するモーションを募集して、どの方法を取るのか決めます。投票方法はそれぞれのDRごとに決めていき、1つの投票が終わった後、次のDRの投票方法を決めるという形です。
DRによって異なる投票方法を取ることも可能です。
3つの投票方法の間には優先順位があります(以下、上から順に優先順位が高い)。
1か国でも希望が出た場合はその優先順位が反映されます。仮にロールコールを希望する国が1か国でもあれば、残り全ての国がコンセンサス投票を希望していたとしても、優先順位の高いロールコール投票になります。
もし、何のモーションも出ない場合は無記録投票が実施されることになります。
アルファベット順に国名が呼ばれ、Yes、No、Abstention(棄権)の3つで投票をします。1回だけパスをして、他国の投票を見ることも許されていますが、その場合は、YesかNoしか認められず、Abstentionはできません。
この方法ではどの国が賛成、反対、棄権したのか公になります。
・ We would like to request a roll-call vote (on the draft resolution 1). |
最終的にアメンドが1つしか出ていない、圧倒的多数がそのDRのスポンサーになっているなど、賛成多数が予測される状況で採用されます。
コンセンサス投票の希望が出たら、議長は全大使にその方式に反対意見がないかを聞きます。1か国でも反対のプラカードが上がれば、投票方式のモーションを再度募集します(実質的には、コンセンサス投票が否定された時点でロールコール方式が選択される流れになります)。
・ We would like to request a consensus vote (on the draft resolution 1). |
Yes、No、Abstentionのいずれかにプラカードを挙げます。投票の記録に国名は残されません。
・ We would like to request an unrecorded voting (on the draft resolution 1). |
改めて確認しますが、自分がスポンサーとなっているDRには賛成票しか投じることができませんので、責任を持って投票をしましょう。
余談ですが、練習会に初参加した私の生徒で、投票がよく分からなかったようで、自分のDRに対して「Abstention!」とかっこよく言い放ったペアがいました(笑)。
採択されたらその後、議長から「DRからRES」へと文書番号の変更が伝えられます。「決議案」から「案」が取れて、公式に「決議」へと変わるのです。