海外進学では今も昔の一番の留学先はアメリカでした。アメリカ留学を知ることが、まずは海外留学の基礎を知るということにもなります。
政治、経済、いろいろなパワーバランスが変わりつつあるとしても、何はともあれ研究はアメリカが最先端であり、近代教育のリーダーであることは誰もが認めるところでしょう。
ということで、国別留学の第1回目として、まずはアメリカを取り上げます。
アメリカの大学は4年制で、大学院は2年制です。さらにコミュニティーカレッジ(コミカレ)という2年制大学も多くあり、コミカレから4年制への編入学も盛んに行われています。
前頁で述べたとおり、アメリカには4年制だけでも2700、2年制のコミュニティーカレッジを合わせれば4400の大学が存在します。レベルはまさにピンキリで、認可されていない大学も相当数あります。
私立が6割、州立が4割です。州の統制力が強いアメリカにあって、軍隊関連の大学だけ国立で、あとは州立です。一般的に州立より私立の方が教育の質が高いと言えます(次項のアメリカ大学の歴史を読んでいただければ分かると思います)。
アメリカの場合、大学は教養教育の場として考えられており、その関連として、以下のことが言えます。
・入学時に専門を決めておかなくてよい。
・専門的なキャリアとし認められるのは大学院
・学問の幅が広く設定されている。
詳しくは「国を選ぶ前に知っておくべきこと@ アメリカ系とイギリス系」をお読みください。
アメリカはフロンティア精神で開拓されてきたところであり、また憲法に則って、広く教育を提供しようという考えが大切にされています(だからこれだけ大学の数が増えてしまったわけです)。
ですから、主婦にも農夫にもエンジニアにも高等教育は開かれています。そのような背景もあり、アメリカの学部は実に実学志向に富んでおり、細かく言えば何百もの専攻が存在します。
ただ、専攻の名前は色々あっても、中身はそんなに細分化されず、重なる部分も多々あります。また、比較的柔軟な履修が認められますので、細かい区分に惑わされず、大きく○〇に興味があるといった程度の関心で学部を考えたほうがよいでしょう。
アメリカは世界各地から留学生が集まります。そしてアメリカ自体が、留学生の受け入れを1つの教育方針、大学経営方針として打ち立てています。
どこに行っても特にアジアの生徒は非常に多くいます。中国人はダントツ多く、インド系も多くいます。その他、韓国、台湾、タイあたりの留学生も必ずいて、むしろ日本人の留学生は全体の中では少ない印象があります。
私の行っていた大学は、「現地アメリカ人より留学生の方が多い学校」と言われていました。私は英語教育の専攻でしたので、その専門の特性もあり、外国人は非常に多かったです。
留学生が多いことをどうとらえるかは人によりけりです。
世界大学ランキングが国際性を評価項目にしているように、多様性は重要なキーワードです。ただし、特に語学や異文化体験も重視される学部留学では、日本人が多すぎるのは敬遠されがちです。
個人的には多国籍は「グローバル社会の縮図」としてとらえており肯定的ですが、一般的には多すぎず少なすぎずが良いのかもしれません。
ただし、中には、経営悪化のために留学生を入れまくり、教育水準とのバランスが取れていない「質の低い大学」もあります。そこは十分に気を付けなくてはいけません。
アメリカの4年制大学進学の道は主に2つあります。
1つは学部への直接入学で、もう1つはコミュニティーカレッジにまず行って、そこから4年制に編入するという形です。
最近は直接入学も増えてきていますが、まだまだ英語力、学力、経済面という点からハードルが高く、上位層のための選択肢となっています。
コミカレは簡単に行けるので、日本人には行きやすく、万人のための選択肢で、積極的に勧めてくる留学エージェントもあります。
しかしコミカレに行くのが果たして本当に良いのか。コミカレで留学の質を保てるのか、ということは大きな疑問です。できるなら4年制大学に直接入学する方が良いでしょう。
成績やTOEFLなど、入学に必要なものについては、また別のページでお話しします。